Blog
ブログ2013.2.28.(木)
すべては風の中に
KANSAS「Dust in the wind」
すべては風の中に…。
KANSASによるこの名曲を聴くために、彼らのアルバム『Point of know return』は存在していると言っても、それは強ち嘘ではない。ある夜は10回連続して、またある夜は30回も連続して、僕はこの曲を聴き続けている。
もちろん、『Point of know return』というアルバム自体も、彼らのキャリアの頂点を示すものとして何度も繰り返し聴かれるべき名盤なのは間違いがない。スティーヴ・ウォルシュの情熱的なロックンロール魂、ケリー・リヴグレンの恐るべきクリエイティヴィティ、パワフルなリズムセクション、そしてバンドの顔とも言うべきロビー・スタインハートのメロディアスなバイオリン…。すべてが混然一体と化し、他の追随を許さぬ複雑かつ強靭なアンサンブルを構築する。
しかし、その驚くべきアルバムの完成度をもってしても、僕の中では「Dust in the wind」、ただ一曲に注意が注がれる。僕をとらえて離さない、人間の儚さというものが凝縮され表現されているためだ。KANSASという存在が人々に忘れされれてしまったとしても、この曲だけは僕たちの心の中に永遠に残り続ける…、そんな気すらする。
KANSASで聴かれるべきレコードはまだまだある。ドラムスのフィル・イハートがイギリスに渡り、かの地でプログレッシブ・ロックの隆盛極める姿を目撃し、衝撃を受けたことが、このバンド結成のきっかけとなった。彼らはアメリカ人ならではのアーシーな感覚と、親しみやすいメロディやハーモニー、比類なきエンターテイメント性によって、ヨーロッパのそれとは違う高みを持った音楽を創造した。彼らはこの当時の世界有数の興業バンドであった。人々を楽しませるのが大好きだったのである。
機会があれば、他のアルバムも紹介したい。
一度に書くには、少々もったいない気がするから。
KANSAS『Point of know return』