Blog

ブログ

2013.5.16.(木)

ため息の理由

$遠くのひかり
PSY・S 『ATLAS』
 3か月くらい前かな、まさに今更のようにハマったPSY・S(サイズ)。
きっかけは信用できる感性を持った2人の人物がこのユニットの名前を挙げたこと。最初に買ったのはブックオフに売っていた『TWO BRIDGES』というベストアルバムだった。買ったその日からしばらく、それを聴き続けるようになった。素晴らしい音楽のセンスと、邪気を一切含まないヴォーカルのCHAKAの突き抜けるような声が、聴けば聴くほど好きになった。
 オリジナルアルバムもたくさん出ているようだけど、ブックオフでも簡単に見つけることができなかった。時期的にはレベッカとかバービーボーイズとかと同期くらいだ。だけど僕の印象ではもっと注目度は低くて、地味な存在。現在では、まさに忘れられようとしている、一世を風靡した、というような言葉がぴったりの存在に思える。
 でも、レベッカが僕の中で聴けば聴くほど古くなっていくのに対して、サイズは逆に聴けば聴くほど新しくなっていく。当時にしてもかなり先進的というか先鋭的な印象を持たれていたらしく、早すぎるグループと言えるかもしれない。
 結局こまめにブックオフの棚をチェックしてアルバムを集めていった。ほとんど投げ売りみたいな値段だったから、全部集めても大した金額じゃなかったと思う。何枚も素晴らしいアルバムがあった。でも一番聴いたのは、『ATLAS』というアルバムだ。万人向けのアルバムじゃない。ダークでクールで、透き通っているのに硬質な痛みを感じさせるアルバム。サイズのスタジオ盤の中でも、異質な光を放っている。他のアルバムの再生回数を全部足しても足りないくらい、僕はこの『ATLAS』を聴いている。もちろん今日も聴いたし、昨日だって聴いた。毎日一回は聴いている。
 何故自分でもこのアルバムばかり取りつかれたように聴いているのか、わからない。わからないけど、僕の心をとらえて離さない何かが、この中にはある。多分そうではないと思うけど、サイズはこのアルバムを作るために生まれた。そんな気すらする。多分そうではないと思うけど。こんな気持ちにさせるってことは、僕の極めてパーソナルな部分に訴えかけているのに違いないのだ。なおさら人にはお勧めできない。何かを好きになって、なぜ好きなのか、その理由は僕は知りたくない。このアルバムにしてもそうだろう。何故好きなのか、その理由をハッキリ意識してしまった時、僕はこのアルバムを聴くのをやめる気がする。いや聴くかもしれないが、きっと以前のようには聴けないだろう。
 音楽を好きな人には、何故だか知らないが心をとらえて離さないレコードの1枚や2枚あることだろう。その理由を追究しようとすることは、お勧めしない。

PSY・S 「遠い空」

コメントをどうぞ

CAPTCHA


内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。
日本語が含まれない、URLが4つ以上含まれる場合はスパムとみなされ無視されます。