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2014.5.22.(木)

オルタナティブ

東の空が白んでくるまで語ったあの椅子、コーヒーの匂い、ざわめきにならないざわめき。時折やってくるヘッドライトと去ってゆくテールライトが、窓の内にいる僕らの横顔をきっと舐めるように右から左へと照らすんだ。

窓に映るのは時にはかけがえのない、屈託のない笑顔であろうし、時にはコーヒーと同じく苦みに満ちた悩めるうつむき顔であろう。僕たちは何十回、何百回とこれを繰り返してきたが、一度として同じ顔であったことはなく、ただ、ガラスに映る度に深さを増してゆく目の輝きと、その横に刻まれた皴の数が増えていくことには、案外多くの人は気付いていない。気付かぬふりをしているだけかも知れない。

まだ早朝の空気は冷たい。朝まで語り明かしたものだけが、この空気の冷たさを額と頬に感じることができる。冷たさは僕らにこう語りかける、「もう昨日とは違う」と。夕闇が街角を侵食していくよりもはるかに力強く、朝焼けは東から西へと夜の闇を駆逐する。

オルタナティブな夜明け。語り明かした者のみが唯一感じることのできる、昨日とは、違う朝だ。僕よ、君よ、世界よ。

グッド・バイ、グッド・モーニング。

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