2014.8.25.(月)

M.f.M（ダブルスコア）

撮影：ブラックストン氏

　間が空いちゃったけど、これは８月８日のお話で、８月７日の続きのお話。

　８月７日、両国サンライズでのライブを終えた僕。その日は終了後サンライズで軽く共演者たちと飲んで、逗留先に戻ることにした。五反田からほど近いところの友人宅に滞在していた。両国からだと、黄色い電車の総武線で秋葉原まで行き、そこから黄緑色の山手線で五反田まで。さらにそこから私鉄に乗換えさらに数駅。東京は、ビルがキラキラしていて、きれいだ。あの灯り一つ一つにストーリーがある。数で言えば田舎の非ではない。しかしどこに住んでいようと僕の灯り、君の灯りがあり、誰かの替えの利かない人生がある。都会だから、田舎だからだという考えはもはや僕の中にはない。翌日は、地元福井でライブだ。

　今回の東京ツアーは、色々と再確認することも多かったし、旧友たちとの再会も嬉しかった。時が経てば、形は変わるものだ。皆昔と同じという訳にはいかない。バンドが解散したり、東京から離れたり。だが僕は形が変わろうと、住んでいる場所が変わろうと、会うべき人には必ず会えると思っている。少なくともその人は、僕が会いたいと思っている人だから。再び会う時には、お互い良い報告ができれば言うことなしだ。

　翌朝、五反田の友人に別れを告げて、品川駅から新幹線に乗り込んだ。新幹線はとても速い。感傷的な思い出など、ものすごいスピードで後に置いてきてしまう。好都合だ。僕は数時間後には、ここから数百キロ離れた福井の街で、今その瞬間の歌を歌わねばならないのだから。

　松並哲也feat.メガホンズ。元々は、これまで何回か共演してきたメガホンズたいらからのお誘いで、何かコラボしようという話になったのが発端だ。コラボと言っても色々あるが、軽く「いいよ～」と返事して後はなるように任せてきたが、一緒にバンドをやることになっていた。僕の曲に、メガホンズがアレンジを加える。メガホンズの曲に、僕が乗っかる。まさに、がっぷり四つのコラボレーション。僕にとっては、久々のバンド形式だ。６月に両国サンライズで「海辺の町ーズ」という急造ユニットでライブをやったが、ドラムとベースがいて・・・というまさにバンド形式、というのは本当に一寸笑劇以来２年ぶりくらい。わくわくと不安が入り混じる。勘は鈍っていないだろうか。僕はちゃんとバンドをオーガナイズできるのか。

　練習は、僕とメガホンズ、都合のいい時に数回やった。僕は僕で、メガホンズも高校生ながらに多忙であって、満足いくまで時間をとって、とはいかなかったが、バンドで練習するってことが新鮮で、しかもソロでやる時より単純にエネルギーの消費量が多いっていうか。でっかい声出さないとバンドに負けてしまうから。こういうのも僕にとっては刺激になるものだった。だって、ガキには負けてられないからね。そしてようやく本番を迎えたわけだが、もうここに至っては楽しむのみ。お客さんも期待している。応えて、いい意味でそれを裏切れたら言うことはなしだ。

　この日はアコースティックな趣きのイベントということで、椅子や座布団などが並べられ、夏の夜のお祭り的な雰囲気になった。出演者も、ホールビー中条さんのデュオや、as one like、高校生ピアノ弾き語りのかなっぺ、事故から奇跡の生還を果たしたコバヤシタクロー、おなじみヤマモモ抽出物など、新鮮さとお馴染み感が程よいラインナップで、じっくり聴けた。

　そしてとうとう我々松並哲也feat.メガホンズの出番であるが。不安はあったが、何てことはなかったようだ。結論から言うと、どの練習よりもよかったと思う。ベースのともやなどガチガチに緊張していたようだけど。まったく、こういう場に引っ張り出してくれたメガホンズには感謝したい。歳の差は２倍だけど、一緒にステージに上がって演奏すれば、もう仲間だからね。僕のラップも炸裂したし（噛み噛みだったけど）、観客の皆さんも喜んでくれたし。良い夜になりました。

　終わった後は数日間の疲れがドッと出て、打ち上げも出ずに帰宅。笑　ソロになってからは打ち上げ参加率ほぼ１００％の僕だけど、この日はライブの余韻に浸りながら眠ることにした。

　僕はただ、忘れられない夜が増えればいいと思ってるだけなんだ。

　忘れて消えてしまう、その時まで。