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ブログ2015.5.3.(日)
旅のはじまり
4月22日、東京。僕のツアーが始まった。ツアーと言っても、月に何回か県外に出てポツポツライブをするだけである。とは言え、自分がソロでCDを発表して、初めてのことだけに、何か行く先々で残せたら、とは思うし、何より、自分の中に何かを残したい、そんな気がする。ツアータイトルは『ひかりを求めてツアー』という行き当たりバッタリで決めたものだけど、悪くはないね。
ライブハウスに向かう前にやってきたのは、西早稲田。僕は東京にいた時にこの界隈に10数年住んでいて、地下鉄の駅を降りた瞬間から見慣れた風景が広がっていたが、それでもこの街のスピードはとても速くて、新しいマンションが建ったり、お店ができたり潰れたりして、絶えずその様相を変え続けている。
この日のライブのオーガナイザーであり、出演者でもある、印藤勢氏と待ち合わせ。とある場所に向かうことになっていた。
ここ。どこかというと、BLACK SWANというHIP HOPのレーベルオフィス兼レコーディングスタジオ兼、カフェレストランのような場所。なぜここにやってきたかというと、僕の好きなラッパー/トラックメイカーに、「LIBRO」という人がいて。彼のアルバム、特に『胎動』というディスクを普段から愛聴しているのだが、彼はラッパーをやめてその後トラック制作専門になってしまった。だが、この度ラッパーとして全面復活をはたし、このBLACK SWANを拠点に活動しているというのだ。この話を印藤さんから聞き、しかも印藤さんがこのレーベルと付き合いがあるというので、連れていってもらったわけである。
カフェも併設、「9sari cafe(クサリカフェ)」という。9sari groupというレーベルと、BLACK SWANというレーベルの兼用の事務所になっているのかな?前者はフリースタイルラッパーとしても有名なMC漢(かん)さんの、後者はラッパー/HIPHOP MC/イベントオーガナイザーとして縦横の活動をしている、DARTHREIDER(ダース・レイダー)さんを代表としたレーベル。事務所を運営しているKさんという方とお話できたが、新宿アンチノックと何かコラボをしようとしているようだ。聞いてみるとこの方はTHA BLUE HERBのMC BOSSさんと同級生のようで、色々なことを教えていただいたが、BOSSさんがソロアルバムを作っているという話とか、興味深いこと話を聞けてうれしかった。
で、僕のことも少しお話させてもらって、今度アルバムを出したんです、と1枚進呈させてもらったのだが、じゃあ、悪いから、ということで、LIBROさんの新しいアルバムを貰ってしまった!かえって申し訳ないやらだが、心の中でテンションMAXだったのは言うまでもない。レーベルとして、福井への進出はまだ果たせていないそうで、福井でもぜひよろしくとのことだった。何か力になれるといいが。
9sari group
BLACK SWAN
その後は印藤さんとリニューアルしたアンチノックへ。特にバースペースは全面的にリノベーションされていて、印藤さんを始め、アンチノッカーたちの、新しい時代への想いというか、そういうものを感じた。何か入り浸りたくなるような空間である。
お酒の種類も増えた。僕が思うに、ライブハウス、美味いお酒を出さなけりゃいけないよ。ホント。この日はビロウの高舘さんがモツ煮を(非常に美味かった!)販売。出番前から酒が進む。
木の温かみが生きている。トイレのドアもわかりやすくなった。以前は、ステッカーだらけの壁と一体化していて、どこがトイレだかわからなかったのだが。かつ、壁のグラフィティも一新、ここはハードコア感をしっかり出しつつ、メリハリのついた内装となった。
この日は、昨年8月に続いて、「ちょっとあり得ないメンツ」を集めたアコースティックライブということで、印藤さんやKIKUO(DRADNATS)を始め、FUGU&JAM(GAUZE、JABARA)、大久保遼一(QWAI)、野良人、Ken Yamamotoなど一筋縄ではいかないラインナップ。まさか伝説的なGAUZEのFUGUさんとアコースティックで共演することになるとは思わなかった。印藤さんやKIKUOくんが苦労して集めたメンツだ。
トップを務めるは印藤勢。観る度に雰囲気が違っている。どこへ向かっているのかは、彼自身にもわからなそうである。スタイルを確立した者であっても、表現者たる者、終わりはない。すぐに次の地点に向かうものだ。彼を見ていて、そんなことを思った。
夜は続いていく。こんなにムアッとした雰囲気のアコースティックライブもそうそうないと思う。僭越ながら、トリをとらせていただいた。アンコールまでありがとうございました。皆さん素晴らしいライブをしていたな。
ライブが終わった後は、印藤氏と、仕事後わざわざ会いに来てくれた四谷アウトブレイク/the8flagの青柳仁志、そしてモツ煮おじさんであり、ビロウのギタリストでありギターリペアマンである高舘さんと火鍋。色々な話をした。僕らの会話は、新宿の夜に溶けていった。
翌日はオフでした。以前住んでいた阿佐ヶ谷へ行き、懐かしい本屋に行ったり。
谷川俊太郎御用達の書店。僕もよく入り浸ったものだ。まだまだ、僕は知りたいことがあるし、考えたいことがある。案外、19のころと何も変わっちゃいない気がした。人生の深淵に入っていく。
そして渋谷にメガホンズを観に行ったりした。東京に行っても変わらないねぇ。そしてこれから変わっていくのだろうな。渋谷のライブハウスを、メガホンズ色に染めていたな。
僕にとって、東京は「たまに出てくる都会」になった。住んでいた時はわからなかったようなことも、今はわかるし、見える。またこの街に勝負しにやってくる。
渋谷はとても人が多かった。人混みをかき分けて、僕は改札を通り抜けた。