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2015.7.21.(火)

酔いどれて新宿

 両国サンライズのライブを終えた僕。東京ツアー2日目は、新宿アンチノック。4月ぶりのアンチノック、今回は、『新宿酔いどれ歌合戦』に参加することに。アンチノックと弾き語りの中世古リュウイチさんが中心となって続いている弾き語りイベント。

 アンチノック入りする前に、アンチノックの印藤さんと9sari cafeに遊びに行った。前回上京時も西早稲田にあるこのHIP HOPレーベル兼カフェを訪ねたのだが、今回はラッパーのMC漢さんの自伝本が発売されたということで、一冊購入。福井で探したんだけど見つからなくて、アマゾンでも品薄状態だったので、買えてよかった。これを書いている時点ですでにこの本を読み終えているが、フリースタイルを得意とする漢さんの生い立ちや、HIP HOPとの出会い、僕も大好きなTHA BLUE HERBのMC BOSSさんとのエピソードなど、関心をそそられる内容で、とても良かったとだけ言いたい。漢さんの地元は高田馬場~西早稲田近辺で、僕も東京ではこの近辺に住んでいたので、さらに興味深く読めた。

 程なく新宿アンチノック入り。最初にリハーサルを済ませた。うーん何と言うのかな。アンチノックの音は他のどこの音とも違うな。アンチノックの音。

 この『新宿酔いどれ歌合戦』は今回ですでに11回目を数える。前日一緒だったメガホンズのたいらなども過去には参加したようだ。最近では主宰の中世古さんがレーベルを立ち上げて、色々画策しているようで、サンプラーやグッズを作ったり、手作り感が心地よい活動を展開している。ここから新しい流れが生まれるのだろうか。

 

 会場セッティングはこんな感じ。ゴザを床に敷いて、あぐらをかいて酔いどれるスタイル。

 ライブが始まった。齋藤幸作。彼は僕の大学の後輩のそのまた後輩にあたる人物で、東京時代に在籍していた一寸笑劇のギターの富山泰宏と「ことり」というデュオをやっている。その富山もこの日はソロで出演して、それぞれがバラバラにソロで出演という運びになったわけだ。つけましょうソロ力キャンペーン。

 2番手、MIHO。福井出身、まだ上京して間もない彼女は、福井でも活躍していたかなっぺの紹介で福井のアコースティックイベント『裸の魂』に出演してもらったことがあって、その時はまだ高校生だった気がする。上京してから、4月に僕のライブをアンチノックに観に来てくれて、それで今回の出演につながった。歌が上手くなっている。まだ19歳ということで、この先が楽しみ。

 シノブモトーリ。シノブくんとの出会いは吉祥寺ワープというライブハウスだった。その時彼は「ハリウッドマンモス」というメタルバンドにしてメタルトリビュートバンドに在籍していたが、ワープでの対バン時は弾き語りだった。アコギ一本でメタルを弾き語る彼に、ピュアなメタル魂を感じたものだ。その後ハリウッドマンモスは解散したが、その後シノブモトーリグループとしてバンド復帰。今度は90年代のヘヴィなオルタナ色が強い歌モノロックバンドだ。今回の弾き語りはアコギでなくエレキで、そのバンドの曲を披露。90年代オルタナ的なメロディと進行が、僕的にツボでした。何とハリウッドマンモスの曲も披露。メタルゾーンに突入した。

 4番手、アオキユウタ。普段はMolというバンドに在籍しているらしく、僕は詳しいことは知らないし初対面だったのだが、歌も味があっていいし、何よりギターがとても上手い。アコギ一本でインスト曲などもやっていたんだけど、ボディ・ヒットやタッピングなども駆使した今様なハイテク・インストで、しかも何が素晴らしかったって、演奏にグルーブがあるってこと。この手のギター弾きの人は手先の技術ばっかりでグルーブがない人も多いが、彼のグルーブはちゃんと生きていたし、魅せるパフォーマンスは、この日一番の注目を浴びていたと言ってもいい。

 5番手、中世古リュウイチ。この『酔いどれ歌合戦』の支柱的存在。彼とも今回が初対面。だが、僕の曲を聴いていてくれたらしく、気に入ってくれて、それで今回参加の運びとなったわけだ。二児の父であり、仕事人で下町っ子である彼の人柄がにじみ出るようなステージだった。きっと、人として愛されているんだろうなと思わせられる、そんなライブ、歌。どこかしら演歌的なメロディも下町の味、自然に赤ちょうちんの情景が目に浮かぶ。

 この後は写真は取れなかったが、青柳仁志。僕の盟友のような、そんな歌うたいだ。やはり彼の歌力は、この日もずば抜けていたように思う。調子が良い悪いは彼ももちろんあるだろうが、ある種の凄味というか、そういうものが感じられなかった日は、過去一度もない。僕が知るthe8flagの青柳仁志とは、表現の幅も深みも全く変わってきているし、まだまだ新しく秘めているものも感じられる。

 僕の出番直前は、元バンドメイト、富山泰宏。一寸笑劇はメンバーの事情で現在活動停止中なので、ソロ活動が活発化してきている。しばらく見ない間に、感情のレベルや表現のレベルが見違えるようになっている。楽曲もわかりやすくて、歌詞も伝わりやすい。ひょっとしたら何かのきっかけで劇的に化ける可能性もある。

 お次は松波哲也。20分の持ち時間だったので、3曲にとどめたが、とある人との話で、本物は3曲あれば十分ということらしいので、僕も臆することなくその3曲で勝負しにいった。途中で歌詞が飛んで曲順を変更したりしたが、精一杯やった。あとは観客の心にゆだねるのみ。悪くなかったことは、この日CDが完売した事実が証明してくれていると思う。ありがとうございました。

 最後は高舘圭介。ギターリペア/クラフトマンであり、ビロウのギタリストでもあるが、弾き語りも始めて、僕も今回初めて歌を聴けた。とても声がいいし、歌も上手いし、もっとこの先弾き語リストとしての行く末も見てみたいと思った。あとやはり彼は周りの人に愛されているのがよくわかるような、そんなステージだった。

 ライブが終了した後は、その高舘さんの40歳バースデーパーティーに移行。朝まで飲みましょうというアンチノックらしい企画だ。

 DJもご機嫌な音楽をかける中、サプライズでライブが始まった。僕は東京時代に会うことはなかったが、噂に聞こえた、あんびるはるか。その彼女が、弾き語りを披露。素晴らしいムードをまとった人だったなあ。また聴きたい。

 仁志や、富山、僕も歌い、客として来ていた富山の後輩も歌い、宴は続く。

 DJとしてMUSHA×KUSHA/両国サンライズの池田さんが参加。DJにハマりそうだと言ってました。

 僕もだいぶ飲んで酔いが回ってきた。この日はいつもながらのジンと、モヒートにハマっていた。生ミントが入っていれば言うことないが、贅沢は言わない。

 彼がパーティーの主役、高舘さん。彼を慕う人たちが途中から何人も訪れた。

 

 朝方、すっかり酔ってしまっていたが、池田さんやアライ先輩など、両国サンライズ勢とラーメンに行くことに。ラーメン屋でも飲み、その後コンビニで酒を買って外で飲み、さすが特に池田さんは高知の人、良く飲む。街がガヤガヤし始め、僕は昼のバスの時間までマンガ喫茶で寝ることにした。彼らに別れを告げ、汗で気持ち悪いのもそのままに、昼近くまで死んだように眠った。


 バスは新宿を出発して、雲の多い富士山のすそ野を、少し遅れて走る。

 僕はバスの中でもまた眠ってしまった。

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