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2015.9.24.(木)

三条ロケット・バトル

 8月後半の朝の日射しが、車内の温度をジリジリと上げ、僕はリクライニングを起こし窓を開けた。風はまだ涼しいようだ。時折耳元を通るひんやりした空気に、僕は長野と秋を感じながら、一風呂浴びに銭湯に。風呂のあとはもう一度善光寺を参り、新潟に向けて出発することにした。

 高速は使わずに、下道で峠を越えるように新潟方面へ。信濃川が進むべき方向をナビゲートしてくれるようだ。残暑の季節なのでやはりちょっと動くと汗ばむが、それでも暑さもだいぶやわらぎ、風は爽やかさを増してきたように思える。

 いくつも峠を越えて長野から新潟に入る。雪深い地方ならではの造りの家を見ながら、僕は秋を飛び越え冬を思った。

 さて、この日の舞台、新潟は三条Rocket Pinkに到着。毎月最終金曜日にここで開催されている、市川淳之介さんの企画『月一歌会』に、初めて参加する。今回で第68夜を迎えるそうで、つまり68カ月続いているということなのだ。それだけでも凄いが、今回は特別版。HIROSHI ASAKUSAこと梅原江史氏(MUSHA×KUSHA)が共同企画者として、名を連ねている。波乱を起こすことが梅さんのライフワークだからして、戦場になること必至なのであった。

 前回三条に行った時の記事はこちら

http://ameblo.jp/macchan429/archive2-201501.html

 こんなことを書くと驕り高ぶっていると思われそうだが、僕はこの手のバンドマン上りの人が何人か出るような弾き語りイベントに、あまり脅威を感じていない。「普段はバンドをやっています、武者修行のつもりで来ました」とか、「弾き語りなんで、バンドのライブと違ってゆっくりまったり」だとか、そういうのもわかるしいいとは思うんだけど、僕自身を脅かす人にはここ最近お目にかかれることが少なくなってきている。

 しかしながら、そういう気持ちになって、戦のようなライブがあることを忘れかけたころに、こういう夜がやってくるものだ。まあ僕自身はいつだって戦(自分自身との)なんだけど。他人に自分の存在を脅かされるという意味の戦い。三条は前回来た時もそうなんだけど、オオカミのような奴がいるなと思わされた。



 ライブに関しては、野暮をぐだぐだ書きたくない。そんな気分。ただそれぞれが、「負けない自分」というものをステージ上で表現していた、凄い夜だったと僕は言いたい。僕自身「負けられない!」と頭を壁に打ちつけたのは、久しぶりだった気がする。それも全員に対してだ。新潟も新潟だが、三条も三条だ。わざわざ福井から来た僕は、好むと好まざるとにかかわらず福井代表なのである。負けるわけにはいかない。この日は福井から高橋隆造が車を飛ばして来ていた。こやつの機動力にも驚かされたし、僕が舐められることは隆造が舐められることだ。

 そんな「負けない自分」を出せた夜は、何とも気分がよい。勝ちをつけるのは難しい。オリンピック競技じゃないんだ。早く走れたものが勝ちという基準はないし、高い声が出たから優勝というのもあり得ない。ただ、ビビッて自分のライブをできなかったものは、「負け」である。それだけははっきりしているのだ。「負け」の烙印を押されなくても、本人たちにはわかるし、時には誰の目にも明らかにわかってしまうものなのである。「音楽は人それぞれ、好みでいいじゃない」という言葉は、時にまったく力を失う。負けてしまった彼は、また一つ眠れない夜を越えねばならない。

 淳さんや齋藤忠義くん、梅さんやまさしと飲みながらあーだこーだ話して、また自分も頑張ろうと素直に思えた夜だった。明け方近く、小雨の降る中、車まで戻った。

 翌日はゆっくりと車を走らせて福井まで戻ることにした。海岸で、カモメの子と遊んだり、

 日本の鬼才彫刻家の作品を見に行ったりした。人の心だけでなく、色んな風物も目にしながら生きていきたい今日この頃なのである。

 長野・三条で関わった皆さん、ありがとうございました。

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