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2016.7.22.(金)

紫陽花の咲く頃

 再びタイムマシンの旅を続けよう。6月18日、19日の記録。

 6月18日、福井駅前響のホール。この時期に毎年開催されるイベント『ROCK ON !!』へ初参加。響の大きなホールで演奏したことがなく、このイベントも出たことがなかったのだけど、色んなジャンル・年齢層が集まるこのような場は好き。趣向や集客の関係上、バンドはバンドで、弾き語りは弾き語りで、また年齢層ごとに固まるのが普通だし、またそういう傾向があっても仕方ないものだとも思うけど、僕はいつも心の中では何かそればかりじゃつまらんと感じてる。自分たちのやりやすい、また評価されやすい環境でばかりやるのはよろしくない。物事は流動性を失うと、衰退していく。位置の固定はすなわち死を意味する。分子は振動し運動する時に熱を発する。分子が移動しなくなった水は、腐っていく。


 老若男女、オリジナル・カバーも問わず、ジャンルも問わず、様々な出演者が観れた。


 僕も精一杯演奏させてもらいました。聴いてくれた方々、ありがとうございました。あと誰だかわかりませんが、僕のいない物販コーナーでCDを買ってくれてありがとう。また会いましょう。 

 楽しかった。大きなホールで天井も高くて気持ちいいね。

 続く6月19日。この日は、僕が企画運営でお手伝いさせてもらったイベント『紫陽花の歌』がフラットキッチンで開催された。


 出演は、能勢愛子・徳蔵 .com・濱野正基。弾き語り3マン。噛めば味が出まくる、スルメみたいな3人。告知の段階から言ってきましたが、それぞれギタープレイにこだわりを持った3人です。歌はもちろんですけども。

 


 フラットキッチンは貸しスペースとして素晴らしく雰囲気がよい。下のバルも、帰りたくなくなる居心地のよさ。この日は下のお店は休みだったが、また近々飲みに行きたいな~。人生には無駄が必要だ。大いに!という考えに至るまでには少々時間が必要でしたけどね。


 長い準備期間をとって、派手に集客して、立派な音響設備、きらびやかな照明装置を使ってやるビッグなイベントもいいが、素朴な空間で素朴な雰囲気で、パパッと瞬発力でもってイベント組んでやるというのもいい。僕はこういうライブが成功することが、本当の意味でシーンが底上げされ醸成されてきた証拠になると思っている。大きなイベントというのはある種のブーム性に基づいたものでもあるので、来れば去る、膨らんだら弾けて飛ぶ可能性をいつも孕んでいる。実際そうなるのを何度も見てきたし、性質上そういうものなのだ。

 とは言っても、こういう素朴なライブが、一部の愛好家の間だけでひっそりと持っているようなものでいいという考えは棄却したい。人前に出るというのは、そういうことではない。常に不特定多数に晒され、評価される可能性と宿命を抱えている。この場も、新たなるムーブメントの、またそれぞれ個人の人生の、胎動のようなものになればいいと思う。


  漸う暮れていく、窓の外、片町。出演者3人が、それぞれ違った色を発する。人それぞれ違うものだし、そうなって当然というところにたどり着くのも、そうそう簡単なことじゃない。葛藤と軋轢を越えて至るものだとすれば、皆旅の途中。ゴールなどはありはしない。自分自身がそうなんだろうし、この日の出演者の3人、そして観客の皆さんにとっても、この日この時この場所での一時は、旅の途中の合流地点。そして終わればまたそれぞれの旅路に戻っていく。

貴重な一時を、皆さんありがとうございました。紫陽花の咲く頃の、素敵な一夜でした。

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